ARメタバースについて

このエントリーは ためになることがいっぱいある AEC and Related Tech Advent Calendar 2021 の提供でお送りいたします。 adventar.org

みなさんこんにちは、麻木浅葱です。

今日はARメタバースについての話をしようと思います。

メタバースとは

メタバースについて正確に記すことが難しいのですが、身近な例でいうと、WikipediaによるMMORPGが世界で初めてのメタバース成功例ということなので、どうやらMMORPGと似たようなものと考えてよさそうです。

MMORPGがなんだかわからない人は FF14 とか DQ10 とかでググってください)

要は『複数のプレイヤーが接続できる、コンピュータを通して接続できる電子的に表現された空間』ということですかね。

ARメタバースとは

ARメタバースというのは、既存のメタバースという概念をさらに発達させた、実在空間上に展開されるメタバースのことです。

例えるなら電脳コイル

www.tokuma.jp

という作品の世界観が一番近いでしょう。

個人的には、 VRメタバースが流行らなくてもARメタバースは絶対流行る と思っています。

なぜARメタバースが流行ると言えるのか

怪しい商材屋みたいないい方になりますが、ARメタバースは流行る、というよりは "必ず" それが当たり前の世界になります。

誤解を恐れず言うのであれば、これこそが我々の生きる世界だからです。

VRは良くも悪くも現実によく似た別の世界です。 似ているといっても、それは単純な現実の模倣というわけではなく、現実にない美しさ・遊び・物理法則の向こう側 なんてものはVRでしか作れません。

しかし、我々の肉体が実際にあるのはここ、現実世界です。

どんなにVR技術が進歩しても、メタバースにお金が集まっても、我々の肉体が急に電子化されて、VRの世界に入っていけるわけではありません。 食事・排泄・睡眠はどうあがいてもこの現実世界で行うしかないのです。

これは全くクリアできない要素ではないではないものの、 人間が栽培される ような世界観でなければ、なかなか難しいでしょう。

しかしそこへきて、AR(Augmented Reality)はその名の通り現実の拡張。

我々が生きるこの物質ベースの世界に、電子的な拡張性を持たせたものが ARメタバース なのです。

少し話としては飛躍しますが、ARは今まで人類が何万・何百万年と繰り返してきた『拡張の歴史』の延長線上にあるものでもあります。

ARはみなさんご存じのように、現実の我々の世界を拡張し、情報を増やし、我々の生活や様々な活動を豊かにするのです。 これは革新的な技術であり、確固たる新技術ではありますが、その性質だけに絞って言えば、人類は過去にも同じことをしているといえます。

それは例えば、人が獲った獣の肉を食べやすくするために作ったナイフでした。

また、足腰を悪くした人のために作った杖でもあり、

移動力を向上するために家畜化した馬でもあります。

これらのモノはみな、人類が自身の肉体をベースにして、より生活を豊かにするために「人体の拡張」そして「生活の拡張」を試みた結果なのです。

そしてそれはARでも同じです。

人類の歴史は、必ずしも今後流行るものを約束するバロメーターではないですが、上記のような理由で、個人的にはARメタバース時代の到来を確信しています。

ARメタバースの定義

メタバースの定義は最近ずっと揺れてますね。

比較的新しい語だからということもありますが、MMORPGであったり、VRSNSであったり、 今メタバースと呼ばれるようなものが、それ以前に細分化され、それぞれが1つのジャンルとして(少なくとも今までは)メタバースという語を意識せずに発展してきた歴史があり、 そもそもその分野にいる人が、自分の分野を『メタバースと認識していない』というのも理由に上げられそうです。

これについては時間を経ることでおいおい定まっていくのかなと思ってます。

まあたぶん今でいう『電脳空間』的な意味を追随するような感じになるでしょう。

ではARメタバースについてはどうなるか、というところですが…。

これは私なりの解釈ですが

現実空間上に現実とは異なるレイヤーで電子的な空間が構築され、そこに肉体・ないしは電子的な手法をもって干渉できること

というのが1つの定義にできるのではないかなと思っています。

そもそもARの土台になっているこの現実こそが1つの universe なわけですから、そこを拡張する "バース" だろうということです。

ARメタバースにおけるデータの取り扱い

ARメタバースは、現実上に展開される新たなレイヤーということもあり、情報の取り扱いには細心の注意が必要です。

これについては電脳コイル履修者ならわかるかと思いますが、作中では

子どもたちが電脳世界の掃除屋『サッチー』に対抗すべく作り出されたアイテム『メタタグ』。
これは電脳世界における物質(電脳物質)に対し影響を及ぼすものだが、「電脳空間上のデータと連動してる」信号機などにも影響を及ぼすことがある

(AR)メガネをかけた子どもたちに、黒い影のような電脳体が近づき、子どもの電脳体(意識)を連れ去ってしまう

といったようなシーンがあります。

これらはすべて、電脳空間上におけるデータと、それに相対する現実の物質の情報が連動していることが原因であり、特に人の意識や信号機などといった人命に直結するようなものは、電脳世界から操作できるべきではないといえます。 (作中ではこれ原因で子どもが亡くなる事件が起きている)

ということで、ARメタバースにおいて、現実物とメタ(電脳)物が連動するためには、以下のようなルール作りが必要であると思われます。

現実における人・物のデータは常にすべてのデータがメタ空間上の人・物に対し同期されても問題はないが、メタ空間上の人・物のデータを現実の人・物に同期する際には一定の規制が必要
現実空間と電脳空間(メタ空間)におけるデータ同期の取り扱い。

上記はざっくりとした図ですが、要約するのであれば 『常にデータ的主導権は現実にあり、メタ空間上のデータはあくまで Augmented/拡張 領域であって、現実のデータを上書きすべきではない』 というようなところでしょうか。

信号機の表示情報は、常に現実の信号機の表示状況をメタ側が読み取って再生すべきであって、メタ側で信号機の表示(色)を切り替える操作を行ったからと言って、現実の信号機の表示をメタに合わせて切り替えるべきではない。 ということですね。

ARメタバースはいつ来るのか

Azure Spatial AnchorsやNiantic Lightshipなんかを触っている感触としては、

すぐには来ないが遠くともない

という感触を受けています。

というのも、オフィスや部屋、展示場といったものの配置が 変わらない/変わりにくい 場所ではほぼほぼもうできてるんですよね。

サーバーリソースの問題さえ解決すれば会場にいる人全員で同じAR(同じ3Dモデルという意味ではなく、同じ場所に置かれた・同じ状態を共有する・同じ3Dモデルということ)を表示できる、という段階ではあると思うので、あとはこれをどう範囲を広げていくかという部分です。

もちろんそれが大変なのですが…

MSさん、Nianticさん、応援しています。

来るべきARメタバース時代に向けて今何ができるのか

個人的には、粛々と今できる範囲で開発を続けていれば良いと思う。

先ほど挙げたように、Azure Spatial AnchorsやNiantic Lightshipといった基礎技術はすでに公開され、素晴らしいことに我々が触れるように整備してもらっています。

さらに、これらが無料で使えるだけでなく、Nianticに至ってはARメタバース(リアルワールドメタバース)を作る企業に投資するとまで言っているので、 我々は、すでにその一歩をつかんでいると言えます。

この機を逃してはならない。 木屋町の怪しげなオババによると、好機はいつも目の前にぶら下がっているものらしい。

それをつかむべく手を伸ばさずに、何ができようか。

また、もしかしたら

www.itmedia.co.jp

なんてことにならないように、ARメタバース協会くらいは早めに立ち上げるべきなのかもしれないですね。

誰かそういう団体立ち上げるなら僕も仲間に入れてください。一生懸命働きます。

総括。で、何がやりたいのか

個人的には、やはりARメタバース。 現実空間に置くみたいに電脳物を置いて、それが現実のものと同じように扱えて、 サッチーみたいな掃除屋が来て、あまり変なもの置くと行政に怒られて…。

そういった、 ARがあることが当たり前の世界 が欲しい。

デンスケと一緒に暮らしたい。

今はとりあえずこれを目標にできることを初めています。

是非ARが当たり前にある世界実現のため、みんなで一緒にARメタバース作っていきませんか!!!